咲きも残らず散りもはじめず

タイトルは満開に咲く花を歌った古歌より

はざまのカミサマ外伝.田村15

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「しかし、親王禅師の霊は、蝦夷にはおわさぬ」

田村麻呂は、蝦夷地を転戦する中で、そう確信します。

桓武帝が蝦夷に「霊視」したのは、平安京では見知らぬ「カミサマ」の姿でした。

四方に狐神を従えた強きカミサマ。

桓武帝は、そのカミサマは亡き親王禅師、早良親王の御霊だと「霊視」します。

それで坂上田村麻呂征夷大将軍に任じて、大軍を率いてお迎えにあたらせたのでした。

しかし、田村麻呂は、「見知らぬカミサマ」に、早良親王とは、親王禅師とは異なる「気配」を気取ります。

「このカミサマは、血の匂いがする」

仏の教えのうちで、最も厳しく戒められることは「殺生」です。

また、天武天皇が定めた神道でも、血は「不浄」とされます。

ところが、田村麻呂が近くに感じるカミサマには、血の匂いがするのです。

「これは、どういうカミサマなのか」

田村麻呂は途方にくれました。