咲きも残らず散りもはじめず

タイトルは満開に咲く花を歌った古歌より

エピソード13. 本懐

相手は私をどう呼ぶかはわからないが、私には≪親友≫と呼べる友人が何人かいる

「闘病記を書いたらいい。書き残したらいい」

何人かの親友に、病気になったことを告げた時にいわれた

検索すると、ネット上に「〇〇のがん闘病記」のようなものがたくさんあった

思わず更新日を見る。何年も前のものだとため息がでる

━そうか、闘病記とは遺書のことか。

私は、少年のころから文章を書くことが好きだった。

そんな私を知る親友たちの≪応援≫をありがたく思った。

私は家族や親友たちにあてた≪恋文≫のようなものを書くことを考えた。

私がどれだけ愛していたか、尊敬していたかを伝える、まさに≪恋文≫だった。

━伝えたいことはそれだけでよいか?

  

私は病気になった。

病気になって絶望した。

しかし、その絶望の淵から希望を見出して立ち上がることができた

精神腫瘍医のおかげで

 

私と同じ病気になる人は沢山いる。これからも増える。

そして、その家族も同じように増える。

その誰もが絶望する

必ず絶望する

病気になった誰かとその家族が、必ず絶望する

なぜなら、孤独になるからだ。

しかし、精神腫瘍医がそのそばにいれば

いや、精神腫瘍医という存在を知るだけで

誰かとその家族の絶望は、少なくとも孤独は癒される

 

━精神腫瘍科の存在を伝えたい

私は自分の≪残りの時間≫をそのことに使いたいと思った。

残りの時間を、誰かの孤独を癒す手助けになることに使った私を

私の家族や親友たちは、誇りに思ってくれるのではないか?

そうであったらこれほど嬉しいことはない

 

私は清水先生にいっていた

「先生、一緒に本を作りませんか」 

 

↓10月19日発売

人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話