咲きも残らず散りもはじめず

タイトルは満開に咲く花を歌った古歌より

エピソード14. 約束

このブログは現在(2017年9月17日)と、過去を往来しながら書いている

 

2016年の4月に「一緒に本を作りましょう」

清水先生にそういいながら、私は≪どうやって本をつくるか≫を、考えていた。

私は本など作ったことはなかった

いや、遠い昔に≪自費出版≫というものをやったことがあった。

それは≪ガリ版刷り≫のようなものでなく、きちんと製本されたものだった

だから、「お金を使えば本はできる」ということは知っていた。

 

そんなことより問題は、

「誰が書くか」

だった。

 

清水先生は、論文や精神腫瘍学を紹介するような文章を書いた経験があっても

「普通の人の読み物」を書いた経験はない。

それでも、清水先生の頭脳をもってすれば、なんとかなるかもしれない

 

問題は、私のパートだった。

 

書く能力への自信の有無以前に、

私には、生きて書き抜く自信がなかった

書き上げるまで、生きている自信がなかった

 

約束ができるのは、死なないつもりで生きているからなのだ

未来を持つ者だけが、約束できるのだ

 

私は、そのことに気づいていた

自分は、いつ死ぬかもしれない。

たぶん5年以内に死ぬ

 

私には未来はない

 

そう思っていた私には、書き抜く自信はなかったのだ

 

しかし、精神腫瘍科を人に知らしめることは、私の≪本懐≫のように思える

私の残りの時間の使い方としては、最も良いように思える

そして、清水先生と本を作る≪約束≫をした

 

約束は守らねばならない。約束は果たさねばならない

約束は相手とだけするのではない。自分ともしているからだ

 

約束を果たすためには、私の替わりに書いてくれる人が必要だ

いや、私の想いを託せる人が必要だ

 

そして、私には、その心当たりの人がいた 

 

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