咲きも残らず散りもはじめず

タイトルは満開に咲く花を歌った古歌より

エピソード16. 作家

「知り合いの方のお母様が、戦地のお父様に送った≪恋文≫をお預かりしています」

 

そんな話を彼女から聞いたことがあった。

 

━戦地への妻の書簡集?それとも詩集のような本になるのかな?

私はぼんやりと、そう思っていた。

 

ところが、彼女はそんなものは作らなかった。

 

彼女は≪作家≫だった

 

彼女の本を読んだ私は、Amazonに、生まれて初めてのレビューを書きこんだ

 戦地で生きる支えとなった115通の恋文

 

「生きて帰ってきて」などとは書かない。

ただ、「武運長久を」と書くのが、女というものか

115通の「さようなら」を、見事に構成することで、

名もなき人の、夫婦と戦争を描き切った労作である

 

 

 あんな本を作れる≪作家≫である彼女ならば、

 

私が迷った道を、

清水先生が共に迷ってくれたあの道のりを、

他の人にもわかるように描いてはくれまいか?

 

名も無き者の戦いを

何かを失いながらも、何かを遺そうとする者の

生きた証しや誇りの物語を、描いてはくれまいか?

 

 

私は彼女に期待した

 

↓10月19日発売

人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話