咲きも残らず散りもはじめず

タイトルは満開に咲く花を歌った古歌より

エピソード28. 連敗

2017年があけた

 

昨年来、作家・稲垣麻由美は出版社へ企画を持ち込んでいた

「精神腫瘍学を紹介する本を書きたい」

「精神腫瘍学を紹介する本を世に出したい」

そんな稲垣に出版社は、興味を持ってくれた

 精神腫瘍科をテーマにした本は少ない

国立がんセンターの精神腫瘍科長の本ならば」

 出版社はそう答えた

 

 ここにすれ違いがある

 

 いわゆる≪がんの本≫は、有名人のがん患者か、医師が書いた本ばかりである

 私たちの本は、がん患者でも医師でもない≪無名作家≫が書く本だ

 ≪無名のがん患者≫を描いたものはない。

 それは自費出版か小説の世界。

 ノンフィクションの本はない

 

 いやいや、そもそも、私たちの本はがんの本ではないのだ

 

「死生観を伝えるだけでなく、がんで生き方を変えた人たちの≪物語≫を書きたいのです」

 

 そんな私たちの企画は、どの編集者にも出版社にも

 受け入れてもらうことは無かった

 稲垣からの残念な報告は繰り返された

 

 
↓10月19日発売

人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話