咲きも残らず散りもはじめず

タイトルは満開に咲く花を歌った古歌より

エピソード29. 回生

2017年の四分の一が過ぎようとする中、私たちの連敗は続いていた

私の体調は低位で安定していた。痛みはコントロールされて、心はおだやかだった

 

がん患者に、その家族に精神腫瘍科の存在を伝えたい

なぜなら、がん患者も、その家族も、それぞれに≪孤独≫を抱えてしまう

患者に、家族に、その≪孤独≫を癒して欲しいから

私たちの想いは、独りよがりなのだろうか?

世の中から必要とされていないのだろうか?

だから、私たちの声は届かないのだろうか?

稲垣の連敗が続いた

 

天からの使いを≪天使≫と呼ぶのなら、

その人は私たちにとって、まさに、≪天使≫だった

 

清水能子から稲垣に電話が入ったのは、4月の初め頃だった

話のついでに稲垣の近況を聞いた清水編集長は言った

「その精神腫瘍学にまつわる物語を聞きたいわ」

 

稲垣は笑った


「「国立がんセンター」というブランドではなく、 

  精神腫瘍学にまつわる「物語」に興味を持ってくれた編集者に、 

  やっと巡り会えました」

 稲垣が、≪必ずいる≫と信じていた編集者こそ、清水能子編集長だった

 

私たちも笑った

稲垣が、この人だと言うのならば、この人なのだ。

稲垣が信じるのならば、私たちも信じる。

 

清水能子は、私たちの前に登場した

 

2017年4月30日、国立がん研究センター中央病院

私と清水医師は、稲垣から清水能子を紹介された

 能子さんは美しい本を見せてくれた

 「ターシャの映画『ターシャ・テュダー静かな水の物語』が始まります」

 清水能子はスローライフで知られるターシャ・テュダーを日本に紹介した

 ≪伝説の編集者≫でもあったのだ

  ※ターシャ・テュダー関連書籍は400万部近くを売り上げている

 

 ≪がん専門の精神科医≫は、その伝説の編集者の≪慧眼≫に触れたのだ

 伝説の編集者は、私たちにとって、起死回生の天使となった

 

↓10月19日発売

人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話