咲きも残らず散りもはじめず

タイトルは満開に咲く花を歌った古歌より

アクション11. 均衡

2015年9月

私の腫瘍は肺門の近く大動脈に接する場所にあり、手術はできなかった

がん細胞はリンパ節にも転移していることから、脳をふくむ他の部位に転移するか

あるいは、がん細胞が大動脈を食い破って死に至らしめるか

5年以内にいずれかが起きる可能性が、統計上で95%だった

その確率を20%に引き上げる治療が終了して2年。治験が終了して1年がたった

 

2017年11月1日

この日、私は国立がん研究センター中央病院で主治医の診察を受けた

その診断の結果は

私の体内で、免疫細胞の力とがん細胞の力が≪均衡≫をとっている

というものだった

 

私の生きようとする力が、がん細胞を抑え込んで、進行性がんの進行を留めている

というように思えた

 

均衡がとれるには、≪芯≫が必要になるのではないだろうか

 

左右に揺れるヤジロベエは、≪芯≫があるゆえに、どれだけ揺れてもいつかは留まる

私は清水先生とのやりとりの中で、≪芯≫を得ることができたのではないか

だとしたら

私の生きる力とがん細胞が均衡をとっている間に

私は、私が≪芯≫を得る為に辿った道筋を伝えたい

精神腫瘍医の存在を知らせたい

 

もしも、生と死のあいだに境界線があるとするのなら

 

それは、細い線ではなく、幅のある帯のようなものなのかもしれぬ

私は自分が、その帯状の境界線の上にいるように感じている

境界線の上で、なんとか均衡をとっているように感じている

 

だとしたら

バランスを壊さぬように、

私の人生でほんとうに大切なことをやりつづけることに使いたい

 

その選択は、いや、≪診断≫は、私自身にしかできない

だから、自分で決めます

 

お付き合いのほど、よろしく頼みます

 

「人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話」