咲きも残らず散りもはじめず

タイトルは満開に咲く花を歌った古歌より

リロード3. 南風

 彼の奥さんからメールがきた

 

人生でほんとうに大切なこと」を読んでくれたという

 

 彼も、彼の奥さんも、精神腫瘍医のケアを受けた

 彼も、彼の奥さんも、がんに混乱し、苦しめられたのだ

 そして、彼が去った後でも奥さんは苦しみ続けていたのだ

 

「ひとつの生命が、深く愛し頼りきっていた人が存在しなくなってしまうことを、

 人の心は許容できない。認めることを拒否するからでしょう」

                  「キスカ」 星野道夫 文春文庫より

 

 10年の年月を費やしても、

 未だ彼のことは整理がつかないという、

 彼のことを語るのは躊躇いがあるという

  

  それは、未だに彼を近くに感じているからだろう

  それでも彼女は本を読んで「私も踏み出さねば」と思ってくれたとのこと

 

 彼女からのメールは、私には南風になった

 そして、私のジングルベルを鳴らしてくれた

 

「人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話」

 

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