咲きも残らず散りもはじめず

タイトルは満開に咲く花を歌った古歌より

リブート19. 解答‐3

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 清水先生の眉が上がります。

「機嫌というのは、簡単に悪くなります」

 清水先生が眉を開きます。

「しかし、簡単に悪くなるということは、

簡単に良くなるということでもあります。

そして、簡単に変わるということは、自分でバランスをとることができる。つまり自分でコントロールすることができる。

ということになります。

コントロールしたがる私に向いています」

 私はテーブルの上で掌を組み合わせます。

「私は月に1度、清水先生との時間で、私のご機嫌のバランスの確認をしてきたのだ、ということに気づきました。

 いや、清水先生の時間を積み重ねることで、私にとって大切なことは、私がご機嫌であることだ、ということに至りました」

 私は清水先生にお辞儀をします。

「先生に『嫌われる勇気』のお話しを聞きました。

私はもしかしたら同じことをいっているのかもしれません」

 

 私は清水先生から

 『千賀さん自身はどうしたいんですか?』と、

 何度も何度も問われてきた。

 アドラー心理学も教わっていた。

 

「ところで、『人間はなんのために生まれてきたのか?』と、

 宮澤賢治が農学校の教師時代に、生徒に質問したことがあるそうです」

 

 私の話は、あちらこちらにさまよいます。

 しかし、清水先生は絶対についてきてくれます。

  私は独りぼっちになることはありません。

 

「それを、つまり、『なんのために生まれてきたのか』を知るために生まれてきた、という気の利いた解答もあったようです」

 清水先生が微笑みます。

宮澤賢治の答えは、『人は幸せになるために生まれてくる』というものだったそうです」

 清水先生の口角があがります。

「たいへんわかりやすい答えです。聞くだけで幸せになります」