咲きも残らず散りもはじめず

タイトルは満開に咲く花を歌った古歌より

リブート22. 解答‐6

「この夏、箱根の『星の王子さまミュージアム』という所に行きました。

 私はその時に、サン・テグジュペリの『星の王子さま』と『再会』しました」

 

 清水先生は興味深そうに私の話を聴いてくれます。

 

「『星の王子さま』というのは、

『特別な存在』だったと思いこんでいた『花』は、

じつは『薔薇』という『ありきたりな存在』でしかなかったことを知って、落胆した王子さまが、

『ありきたりな存在』でも、愛しむ続けることによって

『特別な存在』に成りうることをキツネから学ぶ物語

 なのだというふうに解釈することができました」

 

 清水先生の口元がほころびます。

 

「おそらく『何者』とかいうものは、多くの人にとっての『特別な存在』なのでしょう。

 けれども、私にはすでにたくさんの『特別な存在』がいます。

そして、その人たちから『特別な存在』として扱ってもらっています。

 私には愛しむ相手がいます。

 家族もそうです。清水先生をはじめとする友人もそうです。

 そして、その人たちを、心から敬愛することができます。

 私に、これ以上、何が必要でしょうか?

 私にはもう、何も要りません。

 私は幸せで、ご機嫌なのですから。

 これからの日々を大切に生きるということは、

 大切な人たちを大切にするために時間を使うということです」

 

 清水先生の瞳が輝いたように、私には見えました。

 

「これが、私の『人生でほんとうに大切なこと』は、

『私がご機嫌でいること』だ、という説明になります」

 

 清水先生が、私のお辞儀応えて軽く頭を下げます。

 

「先生が一緒に歩んでくださったおかげで、

 ようやくここまで辿り着くことができました。

 ありがとうございました。

 来年も、これからも、よろしくお願いします。」

 

(写真は箱根星の王子ミュージアムの『花』)

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