咲きも残らず散りもはじめず

タイトルは満開に咲く花を歌った古歌より

はざまのカミサマ 1

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むかしむかしのこと。

 

そのクニにはたくさんのカミサマがいました。

そのクニでは、「命はいつかはみんなカミサマになる」と思われていました。

 

そうです。命があるものとは、人だけではありません。

けものや蛇や虫や草木や花も、時が満ちるとカミサマになりました。

ああ、山や川や大きな岩などにも命があって、すでにカミサマになっておりました。

そんなカミサマたちには王様がおりました。

遠い東の果てにあるそのクニでは、人はカミサマたちに囲まれて生きていました。

 

そんな、むかしむかしのある時に、そのクニに新しい神様が来ました。

カミサマの王さまは、海の向こうから来た新しい神様に居場所を与えました。 

新しい神様は、「稲穂」という黄金色に輝くものをこのクニに持って来ました。

新しい神様は、山や川の形を変えて、田や畑を作りました。

このクニの人の暮らしが変わりました。

 

カミサマの王さまは、少し窮屈になったので、このクニの北のほうに移りました。

やがて、このクニに、また海の向こうから新しく仏様がやってきました。

新しい仏様は、「あの世」という暗闇に沈むものをこのクニに持ってきました。

神様たちと仏様たちは仲良くこのクニを治めることになりました。

仏様たちが「あの世」を、神様たちが「この世」を治めることになりました。

 

海の向こうからやってきた神様や仏様が居場所を決めてしまったので、

もともとからこのクニに居たカミサマの王さまは、

「この世」と「あの世」の「はざま」にいることにしました。

 

「このクニのすべてのものの、時が満ちた後に通る場所」

それが、「この世」と「あの世」の「はざまの世」なのです。