咲きも残らず散りもはじめず

タイトルは満開に咲く花を歌った古歌より

はざまのカミサマ外来.秦河勝.4

f:id:syukugami:20191020003223j:plain

秦河勝が朝廷に近づいた頃、このクニでは「仏教」の取り扱い方を巡って、二つの勢力が争っていました。

あらゆる「呪術」は、取り扱いによって、「薬」にもなりますし、「毒」にもなります。

一方の勢力は、「仏教」はクニを救う「新しい薬」だと主張します。このクニの古来からの神様ではなく、新しい仏様の力を用いて、このクニを救おうと。

他方の勢力は、このクニには古来から神様がいらっしゃる。海の向こうから来た「仏教」は、仏様は、古来からこのクニを守ってきてくれた神様を怒らせる「毒薬」にしかならない。

また、少数ではありますが、道教儒教拝火教景教陰陽道などの仏教以外の「呪術」も、海を越えてこのクニに渡って来ていることを、彼らは苦々しく思っていました。

このクニの神様の「呪術の力」を軽んじることは、その神様たちの子孫を称した自分たちの氏族が軽んじられることにつながります。それは、そのまま朝廷での政治力が弱まることを意味します。

海の向こうからこのクニに渡って来た河勝は、 このクニには古来から神様がいらっしゃることを学びました。

そして、その神様の中の最高神の子孫が、このクニの帝であることも。

しかし、河勝には、最高神の子孫である帝ご自身が、ご自身の守護神ともいえる祖先の神様ではない、「何か」の力を求めているように思えました。

なにしろ河勝は、「人ならぬ人」なのです。

もしかしたら、帝が求めるものは、

あの時、河勝が垣間見たあの世界かもしれない。

河勝には不思議にそう思われました。