咲きも残らず散りもはじめず

タイトルは満開に咲く花を歌った古歌より

はざまのカミサマ外伝.西行7

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那須与一は、あの「奇跡の矢」で平氏の敗北を決定的にしました。

 

┿あの矢を放つ為だけに、那須与一はこの世に現れた、ともいえるやも知れぬ。

 

頼朝は、精悍さの中に少年の面影を残していた那須与一の顔を思い出しました。

那須与一は二十歳でこの世を去りました。

与一の人生は、流星のようでした。

 

義経は、三十になったか、ならずか。

義経の人生は、雷電のようでした。

 

頼朝は西行を前にして、この世を去った二人の若武者の宿命のよなものに思いを馳せました。

 

頼朝が他人の前で瞑想状態になるなど、かつて経験したことはありませんでした。

 

頼朝は、一瞬の隙も見せずに生きてきたのです。

 

頼朝にとって、目の前にいる西行は、人の姿こそしているものの、岩や樹木のような自然物のように思われました。