咲きも残らず散りもはじめず

タイトルは満開に咲く花を歌った古歌より

はざまのカミサマ.外伝観世1

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「面をつけるだけで良いのか?」

 少年は高い声を出しました。

 少年は常に寡黙でしたが、興奮すると高い声を出しました。

「はは。面を、おもて、と呼びます。さらには綺羅綺羅し装束をつけまする」

「その面を依代として、「この世」から他界に渡るのか」

 少年は独言をつぶやきます。

 

 なるほど、他界に渡ることができても、悪霊や怨霊に祟られては敵わぬ。

 しかし、面を悪霊怨霊の依代にすれば、面さえ外せばこの身は安泰だ。

 少年は、「猿楽」という技芸に強く興味を示しました。

 少年は生まれながらにしてあ巨大な権力を持っていました。

しかし、この少年は、自分は更に強大な力を持つべきであると信じていました。

 

この少年こそ足利三代将軍にして、南北朝の騒乱を治めた男。

公家からも武家からも「室町殿」と畏れられた「日本国王足利義満」なのでした。