咲きも残らず 散りもはじめず

今日見ずは くやしからまし 花ざかり 咲きも残らず 散りもはじめず               ー満開に咲く花を歌った古歌よりー

星の魔法使い2

星見やぐらの下に小さなテントがあります。

そのテントの中に下がっている鈴を、リンリンと鳴らすとやぐらの上からおじいさんが降りてきてくれます。

そして、子どもと一緒に星見やぐらを登っていきます。

その街に夕闇が訪れて、おじいさんを呼ぶ鈴の音が風に乗って聞こえてくると、街の人々はなぜか淋しい気分になるのでした。

 

星とお話をしにくるのは子どもばかりでした。

大人になるとお友達がたくさんできるからか、別に星とお話をしなくても淋しくなくなるからでしょうか、おじいさんのところへは来なくなるのです。

さらには、子どものころに星とお話したことさえ、なぜか記憶があいまいになってしまうのでした。