咲きも残らず 散りもはじめず

今日見ずは くやしからまし 花ざかり 咲きも残らず 散りもはじめず               ー満開に咲く花を歌った古歌よりー

春のカミサマ.2

 月夜の道を帰るクモ。

 指揮者のバッタを想います。 

 

 バッタは息子の親友です。

 息子は離れて暮らしています。

 クモは小さなため息ひとつ。

 

 祭が終われば冬が来ます。

 虫たちがいない、冬がきます。 

 

 さらにはケムシもミノムシも、

 冬を越えたら、いなくなります。

 

 それを知るのはクモばかり。

 

「これが理(ことわり)ということか」

 

 満月の下の蒼い道を、

 クモたちは帰っていきました。