咲きも残らず散りもはじめず

タイトルは満開に咲く花を歌った古歌より

エピソード6. 証し

2016年8月

発現してから1年がたった。

がん患者になって1年がたっていた。

 

「がん患者の中には、あまりにも痛みが強く、長く続くために、『いっそうのこと死んでしまいたい』と思う人がいますが、あなたはどうですか?」

初めての受診の時に、私は子どものように首を振って否定した。

質問の内容よりも、この痛みがさらに強くなり長く続くということが当たり前のようにいわれたことに衝撃を受けていた。そんなことは聞いていなかった。

 

そんな痛みに耐える一年を過ごしていた。

しかし、痛みは「生きていること」を実感させる

 

 皮肉なことに痛みは私を冷静にさせる

 

冷静になったつもり私は、残された時間を有意義に使いたいと思うようになる。

なにしろ5年生存率5%といわれてから1年がたった

つまり、残された時間は最長で4年だ

最長で4年

残された時間の中でなにができるだろうか?

 

私は『生きた証』を残すことを思いつく

 

『生きた証』を残すために時間を使うことは、有意義な時間の使い方になるだろう

 

振り返れば、結局、私は1年間、自分のことしか考えていなかったことがわかる。