咲きも残らず散りもはじめず

タイトルは満開に咲く花を歌った古歌より

リロード25. 解放

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≪解放≫への通過儀礼は、1989年生れの赤い車と一緒に始まった。

 

「朝、家に迎えに行く。海ほたるまで走って、モーニングを食って帰って来るっていうドライブにいかないか?」まるで学生時代のような彼の誘いが快かった。

 

≪馬≫だの、≪騎手≫だの、結局、私はまだ拘束されようとしていた。

いや、私が何かに拘束されるのではなく、私が何かに執着しているだけなのだ。

そのことにようやく気づいた。

いや、何度も気づいていた。

気づいても、自分から望んで何かに執着し続けてきた。

「人生でほんとうに大切なこと」に気づいてさえ、執着しようとしていた。

≪何者≫かになることに。

≪何者≫かになろうと執着することで、私は安心しようとしていたのだと思う。

≪何者≫かになろうと願うことは、未来を願うことに似ている、と思う。

 

けれども、私がいてもいなくても、未来は必ずやってくる。

私が、別の≪何者≫かにならなくとも、

私が、私のままで居つづけても、未来はやってくる。

 

海から帰って来た時、私は≪解放≫されている

もしも、≪馬≫と≪騎手≫のあいだが上手くいかないのならば

ここからは、馬から降りて歩いてゆけば良いのかもしれない。

馬から降りた時、≪馬≫も≪騎手≫も消えて、私だけが残る。 

私は私を許して、私を≪解放≫してやろう。

 何度も何度も繰り返してきたけれども、

通過儀礼を経たこの≪解放≫を、本当の≪解放≫としよう。

 

何もかも、決めるのは、他の誰でもない、全て私なのだ。

 

 

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