咲きも残らず 散りもはじめず

今日見ずは くやしからまし 花ざかり 咲きも残らず 散りもはじめず               ー満開に咲く花を歌った古歌よりー

はざまのカミサマ 12

はざまのカミサマの使いは人の世で何をするのでしょう?

はざまのカミサマは、「もののけ」の王です。

もののけ」とは「物の怪」とも記します。

「物」とは、あらゆる「物」をさします。

「国土草木悉皆」が「物」です。

この国土の全てが「物」なのです。

 

国土の多くが山地であることは、この島国に多くの急流河川を生み出します。

 

急流河川の水は澄み水、清水となり、

飲料として適した恵みの水となります。

急流河川は、時に氾濫しますが、

水が引いた後には沃野が生まれます。

 

水は高きから低きに流れます。

雨雪になり、天から降り注ぎ、地を流れて海に達します。

 

この島国は、その水の巡りが速いことから、清水に恵まれた地形を持っています。

 

このことは、この島国に住み人びとにとって、

とても幸運なことといえるでしょう。

 

豊かな水は豊かな緑をうみます。

豊かな緑は豊かな食物をうみます。

この島国の人々は、その幸運を寿ぎます。

この幸運が続くことを願います。

この幸運が途絶えることを恐れます。

 

恐れは、畏れにつながります。

畏れることは、信じることでもあります。

 

カミサマを畏れる。

カミサマを信じる。

 

人々が生み出した神様や仏様と

人々がこの島に到る前からおわします

はざまのカミサマとは

少し違う存在のようです。