咲きも残らず 散りもはじめず

今日見ずは くやしからまし 花ざかり 咲きも残らず 散りもはじめず               ー満開に咲く花を歌った古歌よりー

星の魔法使い3

それでも、おじいさんの鈴は、時々、小さな手でりんりんと鳴らされました。

おじいさんはその子の手をひいて、星見やぐらを登って行きます。

星見やぐらの上に着いたら、子どもに目をつむらせます。

そうして口の中で呪文を唱えながら、その子の星を見つけます。

星が見つかると、今度はやさしく子どもの頭を撫でながらささやきます。

「ほら、聞こえるかい?あなたの星が、あなたに「こんばんは」と言っていますよ」

目をつむった子どもは、かすかな風に揺れる鈴の音と一緒に、遠くでささやく声が聞こえたような気がします。

「あなたのことを、いつでも、いつまでも見ててあげる。あなたが幸せになるのを、見ててあげるよ。あなたの星は、あなたにそう言っています。