咲きも残らず 散りもはじめず

今日見ずは くやしからまし 花ざかり 咲きも残らず 散りもはじめず               ー満開に咲く花を歌った古歌よりー

星の魔法使い7

男の子が魔法使いの弟子になって3年経ちました。

男の子は立派な星占い師になっていました。

星占い師は、引退して別の街に引っ越したおじいさんの代わりに、あの星見やぐらに住んでいました。

 

けれども、その頃には、星とお話をしたいという子どもは、まったくいません。

それで星占い師は、街を歩いている人にビラを配って宣伝しました。

「お星さまとお話をしましょう。空でキラキラ光るお星さまとお話しできるのは、素敵なことですよ」

けれどもお客さんは誰も来ません。

 

星占い師は、ヒマを持て余して他の魔法も色々と勉強しました。

やがて、ホウキに乘って空を飛べるようになりました。

もちろん、街の人びとを驚かさないように、真っ暗な夜中に真っ黒なマントで姿を隠して、空を飛んでいました。

 

こうして星占い師は魔法使いになりました。