咲きも残らず 散りもはじめず

今日見ずは くやしからまし 花ざかり 咲きも残らず 散りもはじめず               ー満開に咲く花を歌った古歌よりー

星の魔法使い9

女の子の姿が街の灯りに溶け込むと、魔法使いは女の子の星を探し始めました。

自分の魔法に間違えがあったとは思えません。

 

それで魔法使いは、星に直接尋ねることにしました。

 

黒いマントに身を包んだ魔法使いは、ほうき星に乗って星から星を巡ります。

まず、3等星から16等星まで尋ねました。

女の子を知っている星は誰もいません。

28等星まで探してもいません。

魔法使いは星から星を飛び回ってヘトヘトになりました。

 

それでもようやく47等星という暗い星が、あの女の子の星であることがわかりました。

ところが、その星はもう消えかかっていたんでした。

 

魔法使いは、自分の星が見えなくなったこと、そして、魔法の師匠のおじいさんの言葉を思い出しました。

「星が消えてしまった子は、幸せになることはない」

 

それでお師匠さまは、男の子を魔法使いの弟子にしてくれたのです。