星の魔法使い10
魔法使いは、あらゆる魔法を使って女の子の星を明るくしようとします。
この夜空に、自分の星が無いということがどんなに淋しいことか。
魔法使いは知っていましたから。
まず、星にお花を咲かせてみました。
ダメです、
金色や銀色に塗ってみました。
ダメです。
魔法使いはあの女の子のことを思います。
明日はきっと自分の星とお話しができると信じて、スヤスヤ眠っている姿を思います。
魔法使いは、女の子が淋しそうな瞳だったことも思い出しました。
三日月さまが魔法使いの顔を照らします。
魔法使いはお師匠さまがどうしても教えてくれなかった魔法を思い出します。
「この魔法は教えることができても使うことはできない」
そう言ってお師匠さまは、魔法の本を閉じてしまったのでした。
「あの魔法であれば…」
魔法使いは、小さく微笑んで星見やぐらまで飛んで帰ります。
夜が明ける前に、魔法を完成させなければなりません。