咲きも残らず 散りもはじめず

今日見ずは くやしからまし 花ざかり 咲きも残らず 散りもはじめず               ー満開に咲く花を歌った古歌よりー

はざまのカミサマ 9

 

はざまのカミサマを中心に、東西南北をお守りする狐面。

 

東の狐面の色は青。顕すのは月。

 

南の狐面の色は赤。顕すのは花。

 

西の狐面の色は白。顕すのは雪。

 

そして、北には黒。顕すのは風。

 

「雪」「月」「花」というこの国の美しきものたち。

そして、その美しきものたちを移ろわせるのが「風」。

 

はざまのカミサマの従者たちが狐面になったこと。

その狐面に色がついたこと。

そして、雪、月、花、風という「意味」を持ったこと。

 

それらに「因果」があるとするならば、

どちらが「因」で、どちらが「果」なのか。

 

黒狐の面は、雪、月、花を見回します。

 

そして思います。

 

形を持たない「風」とは、

もしや「時」を意味するのではないか。

と。

 

形ある美しきものたちを、移ろわせるのは「時」。

形ある美しきものたちを、輝かせるのは「時」。

 

東西南北に連なるこの島国の美しさとは、

形あるものたちの移ろう様を愛でることではないか。

と。