その翌日も素晴らしくいいお天気でした。
真赤に染まった木の葉に柔らかな秋の陽がさしていました。
「おはようございます」
ミノムシが、にこにこにこにこやって来ました。
クモもケムシも、昨晩の帰りが遅かったので、久しぶりに朝寝坊をしてしまっていました。
「なんだか音楽祭が終わると、本当にすぐ冬が来るみたいな気がするね」
「ははは。ところでクモさん、おれの冬支度はできていますか」
「ああ、もうできあがっているよ」
クモがきれいに繕ったミノをミノムシに渡します。
「ありがとうございます。なにしろおれは、このミノのおかげで、冬を越せるものですから」
「今年は冬が厳しいそうだから、ぼくにもひとつミノを作ってもらおうかな」
ケムシが真顔で言いました。クモが笑いました。
「ははは。そうだね。ミノがあればきっと、もっと、楽に冬を越せるね。ミノさえあれば誰だって」
クモはそういって手を打ちます。
「そうだ、ミノだ。どうして今まで気づかなかったのか」
クモはミノを掲げます。
「ミノだよ。ミノがあればバッタくんも冬を越せるかもしれない」
クモは話しているうちに大興奮。
「とにかく、バッタくんに知らせてくるよ」
クモは、ささっと駆け出しました。
「ふふふ。こんな時、おれたちは足手まといだね」
ミノムシの苦笑にケムシも苦く笑います。
「ミノムシさん、あのね」
ケムシは、ひとつ深呼吸をした後で話し始めました。