2023-12-10 春のカミサマ.11 春のカミサマ いつしか秋の最後の満月の夜。 外の声に気づいたケムシは、 閉め切っていた戸を開きます。 空には満月と満天の星。 蒼い月明かりのその下に、 村のみんなが並んでいました。 みんなはミノを着ています。 トノサマバッタがお辞儀します。 あの村長の娘です。 「ケムシさんとクモさんに 聞いてほしくてやって来ました。 父母が歌った『別れの歌』でなく、 ミノのおかげの『祝いの歌』を」 娘村長がそういうと、 バッタの息子の指揮に合わせ、 みんな一斉に歌います。 ケムシは、空を仰いでいいました。 「聞こえますか?この歌が」