咲きも残らず 散りもはじめず

今日見ずは くやしからまし 花ざかり 咲きも残らず 散りもはじめず               ー満開に咲く花を歌った古歌よりー

春のカミサマ.10

 夏が去って秋になっても、

 時が止まったこの家で、

 ケムシはケムシのままでした。

 

 村長に頼まれたのに、

 ケムシはクモを守れませんでした。

 

 クモの夢も、みんなの夢も、

 どちらも、かないませんでした。

 

 しかも、それらの夢たちは、

 みなくてもいい夢でした。

 

 それらの全ての始まりは、

 ケムシの「呪いの言葉」から。