2023-12-10 春のカミサマ.8 春のカミサマ それでも時は流れます。 それでも、春はやって来ます。 その春がゆき、夏が来る頃、 虫の子供たちが生まれました。 虫の子供たち、 みんな合わせて四十七匹。 撫子の林の影で、 子供たちが遊んでいると、 枯葉の山を引きずって、 毛針の怪物が現れました。 子供たちは怪物を、 恐る恐る取り巻きます。 その怪物はいいました。 「これはカミサマからのお祝いだ」 それだけいって怪物は、 もと来た方へと去りました。 のろのろのろのろ去りました。 怪物の姿が見えなくなると、 みんなで枯葉の山を囲んでは、 「これは何か」 とがやがやざわざわ。