2023-12-10 春のカミサマ.14 春のカミサマ ケムシは目を覚します。 なんと、ケムシの身体には、 蟻が群がっていました。 蟻たちはケムシの身体を、 地中に運び込もうとしています。 けれどもケムシは動けません。 「ああ、このままではみんなとの、 約束が果たせない」 「ケムシさんを放せ」 そこに飛び込んできたのは、 クモの息子でした。 隣村まで飛んできた、 ミノ蛾が伝えた、父の物語。 自分の村の虫たちにも、 ミノを作ろう、春を見せよう。 そのミノを作るため、 ケムシの毛針を得るために、 息子は故郷に帰って来たのです。