咲きも残らず 散りもはじめず

今日見ずは くやしからまし 花ざかり 咲きも残らず 散りもはじめず               ー満開に咲く花を歌った古歌よりー

春のカミサマ.13

 いつしかケムシの身体には、

 異変がおきてしまいます。

 

 ケムシの毛針は抜けおちて、

 硬い皮にて覆われます。

 

 ケムシは動けなくなります。

 

 身動きとれないケムシは、

 深い眠りに落ちました。

 

 長い眠りのその果てに、

 懐かしい声が聞こえます。

 

 

「希望のミノが受け継がれ、

  止まった時が動き出した。

  ケムシくん、約束を果たせ。

  笑って。笑ってごらん」

 

 たしかにそれはクモの声。